女性と男性が結婚相手に求めるものは「価値観が似ている」や「相手の人柄」が多いといわれていますが、実際にはもっとシビアな条件があります。どんなに価値観が似ていても、人柄が良くても、そのシビアな条件合わない限り結婚には至らないことが多いのです。
今回はその「条件」について徹底的に調べてみました。
男女で異なる「相手に求める条件」
婚活では男女で相手に求める条件はどのように異なっているのでしょうか。まずは統計から見て行きましょう。
女性が求める条件は「経済力」
最初に見ていただくのは国立社会保障・人口問題研究所が発表した『第15回出生動向基本調査(2017年)』のデータです。下記のグラフは25~34歳の未婚の男女に行った「結婚相手に求める条件」をまとめたものですが、「経済力」「職業」「学歴」の3つは突出して女性の方が重視・参考にしていると答えています。トータルで考えると、女性の求める条件は「経済力」といっていいでしょう。
ほぼ全てのデータで女性の割合が男性を上回っていますが、「容姿」についてのみ男性が少しだけ女性より高くなっています。他が低いだけに、男性の「女性の容姿へのこだわり」が見えるような気がしてきます。
※国立社会保障・人口問題研究所『第15回出生動向基本調査(2017年)』より作成
男性が求める条件は「年齢」?
次に希望する結婚相手の年齢について見てみましょう。こちらも同じ調査結果から作成したグラフですが、男女で全く異なる結果が浮かび上がってきました。
男性の希望はすべての年代で20代半ばから30代半ばに集中しています。つまり自分の年齢に関係なく、求める女性の年齢は変わらないということになります。そしてもうひとつ興味をひくのは、調査中一番年齢層が高い45~49歳のグループが20歳以下の女性を希望する割合が他の年代よりも一番高いという点です。
一方、女性はどのグループも自分の年齢と同じかやや高めの男性を希望しています。年齢だけでマッチングを行うと、合うのは25~29歳のグループのみということになります。このグラフを比べるだけで、男性と女性の希望がすれ違っているのが分かります。
※国立社会保障・人口問題研究所『第15回出生動向基本調査(2017年)』より作成
女性が男性に「年収」を求める理由
女性が男性に経済力を求めるのは、どのような理由があるのでしょうか。
女性の人生は不確定要素が多い
現在では多くの女性が働いていますが、男性と比べて非正規と呼ばれる不安定な働き方をしている人が多いのは周知の事実です。コロナの影響が拡大した2020年の4月頃には多くの派遣社員が「契約満了」という名目で仕事を失っています。
また正社員でも、出産後に元の職場に戻れる保証はなく、産休や育休を取れずに辞めなくてはならない女性は後を絶ちません。運よく戻れることになっても、今度は保育園が見つからずに結局退職したという話も多くあります。
「男性の収入を当てにしている」とか「自分でもしっかり稼げばいい」という人もいますが、現実はそう甘くありません。例えば、女性もバリバリ働いていて、女性に転勤の話が出た時に夫である男性は妻の転勤についていけるでしょうか。仮に女性の方が収入が多くても、自分が専業主夫になるからと言える男性はなかなかいないのではないかと思います。女性の単身赴任を快く受け入れてくれる男性もそう多くはないでしょう。
そういったさまざまなことを考えると、自分が働くことができなくても生活していけるだけの収入がなければ結婚するのは難しいと考えてしまっても仕方がないのではないでしょうか。
専業主婦になりたい女性も多い
できれば仕事を辞めて専業主婦になりたいから、できるだけ収入の高い人と結婚したいと考える女性もいます。
その理由は、子供が生まれたらできるだけ一緒に居てあげたいからというものから、働きたくないというものまで様々です。どちらかというと働きたくないという女性の方が多いといわれていますが、女性の場合、働き続けても男性ほどはお給料も上がらず、いつまでたってもお手伝い扱いされてストレスがたまったりすることも多いので、その気持ちも分からないではありません。
男性が女性に「若さ」を求める理由
男性が女性に若さを求める理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
自分の子供が欲しい
若い女性の方が妊娠しやすいということは、最近では男性にもよく知られています。卵子は女性が生まれた時に既に卵巣の中にあるので、年を取るほど老化していきます。卵子が老化すると受精卵になりにくくなったり、うまく育たずに流産しやすくなったりするのです。
健康な子供を産んで欲しいと思えば、やはりある程度若い女性の方がいいだろうという結論に達するのは仕方がないことではないかと考えられます。
女性に頼ってもらいたい
基本的に男性は「女性に頼りにされたい」と考えています。お願いされたり、甘えてくれたりすれば嬉しいと感じる人は多いでしょう。しかし、自分の年齢が上がっていくと同い年くらいの女性はそのようなことはしなくなりますし、もしかしたら女性の方が口も達者で負けてしまうかもしれません。その点、ずっと年が下の女性は素直で可愛く見えますから、幸せを感じることも多いのではないでしょうか。
男性もストレスの多い社会を生きていますので、家庭に癒しや幸せを求めても不思議ではありません。
すれ違う女性、勘違いする男性、合致する男性
男性が「年下女性」を求めることは、女性の婚活にも大きな影響を与えています。また、男性の中にも誤解を生んでいる場合もあるようです。
30代半ば以降の女性が婚活に苦戦する理由
結婚相手に希望する年齢に、男女で大きな差があることは先ほどお話しました。とにかく若さを求める男性と、できれば同じかやや上を希望する女性とのマッチングは、女性の年齢が上がるほどずれていきます。女性が30代半ばになった頃には、年代の男性の希望はもっと年下の女性になってしまっているのです。しかも男性が35歳時の未婚率は38.4%です(サンセリテ青山の婚活コラム「30代の婚活はアプリよりも結婚相談所をおすすめする理由」より)。
ただでさえ少ない未婚男性に若い女性と同じ土俵で戦わなければならなくなるのですから、苦戦するのは仕方ないのかもしれません。
男性は若い女性と結婚できるのか
では、男性は年齢が上がっても若い女性と結婚できるのでしょうか。
残念ながら、そう簡単にはいかないのが現実です。例えば5~7歳程度の差であれば「想定の範囲内」かもしれませんが、これが15歳、20歳と離れていくとお相手を見つけるのは至難の業といっていいのではないでしょうか。
最近では芸能人などで「年の差婚」と呼ばれるような、20歳以上年が離れている若い女性と結婚している男性もいますが、彼らは見た目も若々しく、経済力もあり、その世界の第一線で活躍しています。そのような男性と一般男性を同じように考えているのであれば、考えを改めない限りその男性は一生結婚するのは難しいと言わざるを得ません。
先ほどもお話したように、女性の希望は「自分と同じか少し上」です。わざわざそれほど年が離れている人を選ぶ理由がないのです。その上、もし自分の娘が20歳も年上の男性と結婚すると言い出したら、大概の親御さんは反対するでしょう。特に男性が50歳を超えているような場合、下手をすれば育児と介護を同時にしなければならないかもしれないからです。
年の差婚が可能な男性とは
世の中には年の差婚をしている一般の男女も少なからず存在しています。これがある意味、男性の誤解を招いているとも言えなくはないのですが、世の中には年の差を埋める何かが存在する場合があるのは確かです。
まず1つは、同年代の異性に比べて包容力や頼りがいがあることです。女性から見ると、男性はいくつになっても子供っぽいところがあると感じてしまうものですが、10歳、20歳と年が離れているとさすがにそうは思わなくなります。ただし、見た目があまりに老け込んでいる場合はさすがに難しいかもしれません。
もう1つは、男性に十分すぎるだけの経済力がある場合です。女性は経済力をもともと重視していますから、相手が圧倒的に裕福であれば、少し年齢差が大きくても気にならなくなる可能性は高いといえます。事実、裕福な男性の妻が若く美しいことは少なくありません。
年の差婚は増えているのか
最後に「年の差婚」は本当に増えているのか、確認してみましょう。
実は夫婦同年齢が一番多い
厚生労働省の『令和元年人口動態調査』によると、一番多いのは夫婦の年齢が同じというカップルでした。下は初婚夫婦の年齢差をグラフにまとめたものですが、他の年齢差に比べると明らかに多くなっているのが分かります。約40年前と比べると男性が年上という割合が減り、女性が年上、もしくは夫婦が同い年というカップルの割合が増えていることがはっきりと見て取れます。
ただし、男性が7歳以上年上のカップルは一度減ったものの、また増えています。この調査で統計があった1970年から徐々に減り、2000年に最も低くなって、2019年にほぼ1970年の割合にまで戻っているのです。2000年というと20世紀最後の年として「ミレニアム婚」が有名になった年でもあります。この年は他の年に比べて婚姻数が増えたそうですが、年の差婚が減った理由については残念ながら不明です。
姉さん女房も増えている
こちらは初婚夫婦の夫と妻のどちらが年上だったかをまとめたものです。
1970年には夫が年上の夫婦が8割と圧倒的に多いですが、2000年には6割になり、30年でかなり減りました。その後も緩やかに下降し2019年では半分近くになっています。
一方で同年齢の夫婦と、妻が年上の夫婦は少しずつ増えていき、現在では1970年の2倍ほどになっています。
ここで注目したいのは同年齢夫婦より、妻が年上の夫婦(いわゆる姉さん女房)の方が多いという事実です。年齢差で見れば同年齢夫婦が一番多いものの、割合としては妻が年上の夫婦の方が増えています。上の表を見てみると、妻が年上の場合、1歳差が最も多いですが次は4歳差以上妻が年上という夫婦です。
女性が年上の男性に頼りがいがあると感じるように、男性の中にも年上の女性に対し、同じように感じる人が増えてきたのかもしれません。特に男性が若い場合にはその傾向が強いと思われます。またスポーツ選手などは年上の女性と結婚することが多いですが、食事や健康面でのサポートが適切であることも影響しているのではないかと考えられます。
ただ、女性が年上の場合には年齢によって子供を持つことが難しい場合もあり、お互いの希望がマッチしているかどうかをきちんと確認することが必要ではないでしょうか。
まとめ
今回コラムを作成するにあたって、様々な資料からグラフを作成してきましたが、男性が望む女性の年齢には正直かなり衝撃を受けました。
ただ、世の中は常に動いています。姉さん女房の割合が増え続けていることも傾向としては悪い事ではないと考えています。多くの男女がより柔軟な考え方で幸せな結婚をして欲しいと思っています。
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