結婚相談所で最初にお客様のカウンセリングをするときに、必ずお聞きするのが「どのような職業のお相手を希望しますか?」という項目です。マッチングに必要な情報なのですが、断トツで多いのが「そうですねえ…公務員とか…」というお答えになります。
女性のお客様の場合、それに先立って先に親御様からご相談を受けることも多いのですが、その際はご本人以上に「公務員が良い」という希望がほぼ必ずと言っていいほど返ってきます。
なぜ結婚相談所でこれほどまでに公務員が人気なのでしょうか?それについて考えてみました。
公務員は結婚相手として女性に人気
最初に、公務員が女性にどれだけ人気なのか調べたアンケートの結果から見ていただきましょう。
女性に人気の職業とは
大手就職関係の「マイナビウーマン」が2017年に行った調査によると、女性で結婚相手に希望する職業は以下のようになっています。
公務員は2位の会社員の約2倍となっていますので断トツで人気があることが分かります。消防士や警察官も公務員ですから、それを含めるとさらに割合が上がります。一方で独立してやっていくタイプの職業は、国家資格があり安定している医師や弁護士を除けば8位の自営業(1%)や大工・土方系(1.0%)と少数派となっています。
●1位 公務員(20.4%)
●2位 会社員・サラリーマン(10.9%)
●3位 医師(8.5%)
●4位 弁護士(3.0%)
●5位 営業職(2.0%)
同率5位 警察官(2.0%)
●7位 消防士(1.5%)
●8位 教師(1.0%)
同率8位 IT系(1.0%)
同率8位 自営業(個人経営)(1.0%)
同率8位 大工・土方系(1.0%)
【参考】ちなみに男性に人気の職業は?
参考までに男性が相手の女性に求める職業は以下のようになっています。一応公務員もいるのですが、「癒し」などのイメージが先行して人気の序列が決まっているのが男性の特徴なのかもしれません。これを見る限り、女性の方がより現実的に結婚相手の職業を考えていると言えるでしょう。
これは男性以上に親の世代からの意見を強く反映しているから、といえるかもしれませんね。
●1位 看護師(8.9%)
●2位 医師(5.2%)
●3位 公務員(4.2%)
●4位 保育士・保母さん(3.6%)
●5位 キャビンアテンダント(CA)(3.1%)
●6位 アイドル(2.1%)
同率6位 アナウンサー(2.1%)
●8位 事務職(1.6%)
女性が結婚相手を決める「基準」
女性が結婚相手に求める条件の中には、「女性として持っている性質」と「家族(親)」が影響しているものがあります。
安定性
もともと日本人は「不安」をつかさどる遺伝子(セロトニントランスポーター)を世界一高い確率で持っていると言われています。つまり、何事に対してもリスクを意識しがちで、慎重な傾向が強いということですね。さらに時代の変化も「不安の解消→安定志向」をますます強める要因となっています。
この国では親世代と比べて景気は目に見えて後退し、給料も上がり続けるということはなくなりました。少子化により年金など老後の心配も大きくなっています。
また、経済状況の変化の中で大企業の倒産など「いつ転落するかわからない」状況であることを目の当たりにしているため、若い世代は「やっぱり安定が一番」と考えているのではないでしょうか。
そういった事を背景に、条件が同じであれば「まず安定しているのが一番」となっていくのはある意味当然だといえます。
親に紹介しやすい
女性の場合、結婚をする際に両親の理解と賛同が、男性以上に重要であることも理由のひとつです。
結婚相談所の場合、女性の1/3程度は親御さんが初期費用を出して活動している…と分析しているデータもあるほどです(当たらずといえども、遠からずというところでしょうか…)。
親御さん世代の場合、年齢的にも安定志向が強いのが特徴です。親世代は「ローンを組んでマイホームを建て、定年まで同じ職場で働いて、老後は安定した年金生活を送る」というスタイルで生活して来ています。できれば自分の娘にも同じようなスタイルで生活して欲しいと考えることが多いのです。
実際には、このスタイルは景気の後退などで崩れてきていると考えられますが、公務員であればまだまだこのスタイルを維持することが可能だと考えられます。そのため、「安定している人を紹介すると両親に安心してもらえる、喜んでもらえる」という気持ちが公務員人気の理由のひとつになっているのでしょう。
公務員の「安定ニーズ」とは?
男性よりも安定志向と言える女性ですが、特に公務員に求めている「安定」とはどのようなものでしょうか。
給料が安定していてそれなりに高い
平成28年度の実態調査によると、国家公務員の平均年収は633万円です。また地方公務員の場合は自治体によりますが、おおむね500~600万円前後です。もう少し小さな自治体の場合は平均年収が下がりますが、それでも同地域の民間企業と比べれば100万円以上も高いことが多く、また安定しています。
公務員の場合、よほどのことがない限り「給料が下がる」ということはなく、基本的には年齢とともに上がり続けます。そして「経営状態が悪いので会社がつぶれて首になる」といったリスクもないので、きちんと勤めていれば職を失い、無収入になってしまうということはないでしょう。
平均収入が高い職業としては、医師や弁護士があります。おおよそ1,000万円を超えていることが多いですが、例えば弁護士であれば年によって平均年収は倍近く変動しています。医師の場合も勤務医と開業医、そして分野により大きな格差があり安定しないので、その意味では「安定しない1,000万より安定する600万の方がずっといい」という考え方をすることもできます。
年金・福利厚生の充実
例えば有給休暇については、民間企業の場合は会社により異なりますが、場合によっては労働基準法に定められた方法で付与される場合もあります。また制度上最初から有給休暇が取得できても、実際にはなかなか取得できないことも多いのが現状です。一方。公務員は1年目から20日の有給休暇を取得でき、さらに新規採用直後でも15日後から取得可能です。
また病気の場合の休暇は、医師の診断書があれば原則90日取得が可能であり、この間は給料が100%支給されます。このほか、夏期休暇や介護休暇、ボランティア、ドナー、産前産後、保育、配偶者の出産など、民間ではほとんどないような特別休暇が付与されています。
また年金についても事実上優遇されています。国家公務員は省庁別、地方公務員は、都道府県と市町村を合わせた形の共済組合がもともとあり、医療保険と年金を運営していました。このうち公務員が加入する共済年金は、民間に比べ厚遇だと批判が高まったため、サラリーマンの厚生年金に一元化されましたが、公務員の上乗せ払い部分については「年金払い退職給付」※という形で残ることになりそうで、まだまだ公務員との格差は解消しそうにありません。
※「年金払い退職給付」は「退職等年金給付」という名称になっています。
社会的信頼が高い
公務員は基本的に「倒産のない職場」であるため、社会的信頼が高いと言えます。そのため、マイホームや車の購入などで利用するローンについても、勤続年数に関わらずよほどのことがない限り断られることがありません。家を建てるのにも、お金を借りるのにもローンを組む必要がありますが、その審査において公務員であると非常に有利になります。
ローン自体が組みやすいというのは人生設計を考えるにあたり大きなメリットとなります。またローンの金利についても低くしてもらえるなど、かなりのメリットがあると言えるでしょう。
結婚相談所では公務員男性が人気
結婚相談所では公務員の男性は非常に人気があります。それは「安定」とその「安定が手に入りやすい」と考えているからではないでしょうか。
結婚相談所を利用する女性に多い考え方
一般的な傾向としても日本の女性には大人気の公務員ですが、結婚相談所ではさらにその傾向が顕著です。お相手の希望職業に公務員を含めない女性の方がずっと少ないと言っても過言ではありません(どうしても公務員が良い、という女性もいますが、それほど多くはありません)。
直接お話をする身として感じることは、結婚相談所を利用する女性は「婚活について現実的に物事を考えている傾向が強い」という事です。恋愛と結婚について現実的に捉え、初期費用を払ってそれに見合う「成果」を意識しやすいということもあり、より目に見える「安定の象徴」としての公務員に人気が集中しているのではないかと考えています。
公務員は人数が多い
日本の公務員は「人口当たりの比率」では先進国中最低です(収入水準は最高レベルですが…)。ただしそれでも国家・地方合わせて約350万人の公務員がいます。同じ女性からの人気職でも弁護士は4万人程度、医師は40万人程度なので、はるかに婚活市場でも出会いやすく、現実的に一番のねらい目であるということを多くの女性が知っているのです。
また特に医師などの場合、家族も医師であるなど結婚後も特殊な人間関係の中に身を置くことも多く、その点では公務員の方が「普通の結婚生活」を営みやすいという利点があるのかもしれません。
まとめ
倒産がなく、お給料も悪くないという「安定」の代名詞のような職業である「公務員」。いつの時代も多くの女性が「安定」を求める限り、公務員の人気は衰えることがないのではないかと思います。
なかなか出会いがないという公務員の男性は、ぜひ結婚相談所を利用してみてはいかがでしょうか。思った以上に女性に人気でびっくりすること間違いなしですよ。