コロナの影響で、人と人とのつながりを大切にしようと思う人が増えているようです。こんな時期だから、心安らぐ人と結婚して幸せになりたいと思うのはとても自然なことでしょう。ならきっと結婚相談所でも、高収入でイケメンじゃなくてもモテる男性が増えたのかな?と考える人がいるのではないでしょうか。
今回はコロナ渦で、女性の相手に求める条件が変わったのかどうか検証してみます。
3高・3平はもう古い?今は4低の時代?
以前は交際相手や結婚相手に求めるものは「3高」と言われていました。その後「3平」がもてはやされ、現在は「4低」が人気といわれています。では「3平」「4低」とはどのような男性の事をいうのでしょうか。
3平・4低とは
「3高」、「3平」や「4低」ってなに?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。3高とは「高学歴・高収入・高身長」を表す言葉で、1980年代末のバブル期に流行した言葉です。この時の高収入といえば1千万以上、高身長は180cm以上と言われていました。現在の20~30代の方はあまりご存じないかもしれませんが、普通の会社員の女性が洋服を買うように宝石や毛皮を買う時代だったのです。
そのあとに出てきたのが「3平」です。時代はぐっと新しくなり2010年頃と言われています。3平とは「平均的年収・平凡な外見・平穏な性格」のことですが、このころの適齢期のサラリーマンの平均年収は470万円程度だったようです。しかし、女性が考える平均収入は600万円を超えていたともいわれていますので、平均的年収とはいいがたい面はあったのではないでしょうか。
3平のすぐ後に出てきたのが、今回お話している「4低」です。4低とは下記のような事柄を表す言葉です。
1.低姿勢(家族に威張った態度をとらない)
2.低依存(家事や子育てを妻にまかせっきりにしない)
3.低リスク(リストラにあうリスクが少ない)
4.低燃費(無駄なお金を使わない)
この言葉が生まれたころに、男性がこれを本当に実践するのなら、そもそも女性は要らないのではないか」という意見も多かったようです。そもそも4低男性は結婚を望んでいないと言われても、納得してしまう内容だと感じます。
本当に女性は「4低」男性を求めているのか
コロナ渦という今までにない状況下で、頼りになるパートナーガいてくれたら・・・と思う女性の気持ちは良く分かります。しかし、女性は本当に「4低」と呼ばれる男性を求めているのかと言われると少々疑問を感じます。もちろん4低男性はある意味女性の理想ではあるでしょう。しかし②の低依存について考えると、これは女性が働いていることを前提とした意見だといえます。
ソニー生命が2019年4月に発表した「女性の活躍に関する意識調査2019(ソニー生命調べ)」の結果からは、働く女性の中には現在も専業主婦を希望する人が一定数存在していることが分かります。
特に20代については「本当に専業主婦になりたいか」という質問に対し、「非常にそう思う」「ややそう思う」を合わせると半数を超えています。30代40代でも35%程度に上っていることを考えると、女性の「専業主婦願望」はいまだ根強いと考えていいのではないでしょうか。4低男性を希望する女性ももちろんいると思いますが、それが全てではないともいえるでしょう。
コロナの影響で女性が望む条件に変化はあるのか
現在の日本はコロナの影響により「有事」の状態にあるといえます。平時と有事、このふたつの状況下で、女性の結婚相手に望む条件に違いは生まれるのでしょうか。
コロナ渦での結婚相手に対する条件の変化
株式会社ウェディングパークが運営する、結婚準備クチコミ情報サイト「ウェディングパーク」が2020年7月に発表した「結婚相手に対して重視する条件」に関する実態調査によると、約4人に1人の女性がコロナ禍により「結婚相手に対して重視する条件」に変化があったと答えています。
理由を尋ねたところ、「一緒に」というキーワードを含む意見が目立ったそうです。
・大変な時期を一緒に乗り越えられるか、どう向き合うかが大切(20代後半)
・一緒にいて楽しいことが大事だと思った(20代後半)
また、既婚女性に「2020年に入って『結婚して(=パートナーがいて)よかった』と思ったタイミングはありましたか(単一回答)」という質問をしたところ、今年に入り、93.1%の既婚女性が「パートナーがいてよかった」と感じていたことがわかりました。家族やパートナーの存在は、有事の時ほど心の支えになってくれたことが分かります。
この調査の中で「結婚相手に対して最も重視する条件」について1位は断トツで「思いやりや優しさ」でした。コロナ渦において、テレワークなどで一緒にいる時間が長くなり、相手に対する優しさや価値観が合うことなどを重視した結果と考えられます。
今も昔も変わらない条件
一方、明治安田生活福祉研究所が2017年10月に発表した「35~54歳の結婚意識に関する調査」には興味深いデータが掲載されています。この調査では、35~54歳の未既女性が「30歳当時」と「現在」で相手に求める条件がどのように変わったかについてアンケートを行っています。
(35~54歳の結婚意識に関する調査より引用)
30歳当時より現在の方が重視している項目として、未婚者・既婚者が共に増えたものは「収入等の経済力」となっています。一方大きく下がっているものは「ルックス・見た目の印象」と「相手が初婚」の2項目です。バツイチ、バツ2といった言葉が浸透し、初婚であるかどうかはあまり重視されなくなったのではないでしょうか。また見た目については男女共に下がっていますが、既婚者の下がり方が大きいことを考えると、共に暮らすようになると相手を見慣れてしまう、年代が上がって風貌が変わっても愛情は変わらないといった要因が考えられます。
経済力に関しては、実はこの20年ほど、日本人の平均年収はほぼ横ばいとなっていることが分かっています。国税庁の「令和元年分民間給与実態統計調査結果について」によると、全体の給与の年額平均は436万円、男性の平均は男性540万円です。また平均年収以上を稼ぐ人の割合(400万円以上)は労働人口の46%ほどで、半数以上の人(女性も含む)が400万円に届いていない状況なのです。
高学歴な男性ほど良い企業に就職したり、良い職業に就いたりして安定した収入を得ることができることを考えれば、これから子供を産み育てていくために、学歴や就職先・職業を含めて経済力を重視するのは女性として不思議なことではないのではないでしょうか。
理想を下げても結婚すべき?
「35~54歳の結婚意識に関する調査」では、未婚女性に対して「結婚するためには理想を下げるべきか」についても訪ねています。この結果を示したのが下のグラフになりますが、35~39歳では「理想・条件を特に意識することなく結婚すると思う」と「理想・条件を下げるくらいなら結婚したくない」がほぼ同じとなっています。年齢が上がるにつれて「理想・条件を特に意識することなく結婚すると思う」は減っていきますが、「理想・条件を下げるくらいなら結婚したくない」と答えた人はどの世代でもほぼ同じという結果になりました。減った部分は「結婚したくない」と「諦めている」に吸収される形になっています。
「35~54歳の結婚意識に関する調査」より作成
「理想・条件を下げるくらいなら結婚したくない」と回答した理由は「どうせ理想・条件を下げるなら、もっと若い頃に下げて結婚しておけばよかったと思うから(40.5%)」、「自分のキャリア・収入・ルックス等に見合う異性でないと納得できないから(33.0%)」などとなっています。
ところで、35~54歳の既婚者で「結婚したかったので理想・条件を下げた」人に対して、理想・条件を下げたことを後悔しているかどうかを2択で尋ねたところ、「どちらかかと言えば後悔している」と答えた人が、女性では6割近くに上りました。男性より女性の方が後悔していると答えた人が多かったことを考えると、女性は譲れないと考える部分では妥協を控えたほうがいいのかもしれません。
自分の価値観は大切にしよう
条件を下げれば結婚はできるかもしれませんが、それで後悔が残るのはさみしいと思いませんか。幸せになりたくて結婚しようと思っているのですから、幸せになれなければ意味がありませんよね。
譲れないものは何か考えてみる
婚活を始めていろいろな人に会ったけれど、あの人はここがダメだった、この人はこの点がちょっと・・・と、段々と求める条件が増えてしまって行き詰ってしまったということがあるかもしれません。結婚した友達に「結婚には妥協も必要よ」と言われれば、自分の理想は高すぎるのかと迷うこともあるでしょう。そんな時は一度、立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
まず、今のあなたが条件として考えているものを全て書き出してみてください。手を動かすという行為は頭の中だけで考えるよりもずっと整理するのに適しているものです。次に、あなたが理想として思い浮かべる家族の姿はどんなものか、こちらも書き出してみましょう。それは夫と子供と休みの日にみんなで一緒に食事を作りながら楽しむ家庭ですか?それともリッチなレストランで食事をするようなオシャレな夫婦でしょうか?ぼんやりとしたイメージで構いませんので「こうだったらいいな」と思う姿を思い描いてみてください。
ふたつが出そろったら、あなたが思い浮かべた夫婦像、家庭像を実現するために必要だと思うものを選んでみましょう。「これはあった方がいいかな?」と思うものは除いてください。ここで選ばれたものがあなたにとって「譲れない条件」です。除いたものは捨てる必要はありません。譲ってもいい条件というより、優先順位が下がったと考えましょう。
お互いの価値観を大切に
価値観が似ているから一緒にいて楽しい・・・。「価値観が同じ・似ている」は以前から相手に求める条件のひとつです。時代や社会が変わっても、自分の人生のパートナーに求める条件はそうそう変わるものではありません。まわりがこう言うから、そうしなければならないというものでもありませんし、人それぞれ違っていていいのではないでしょうか。大切なのは幸せになりたいと願う人が、その人に合った誰かと結ばれて幸せになることなのです。
ただ、女性に理想があるように、お相手の男性にも同じように理想があることを忘れないでください。たとえお互いの希望が一致していても、全ての価値観が同じとは限りません。自分は絶対そう思わないと思うことがあっても最初から否定するのは控えましょう。相手がなぜそう思うのか、よく話し合うことが大切です。もともと全く違う環境で育った二人ですから違うのは当たり前、そう思って広い心で新しい出会いに望んで欲しいと思います。
まとめ
結論から言うと、女性が求める条件に大きな変化は無いといっていいのではないでしょうか。男性が女性の容姿にこだわるように、女性が男性の経済力にこだわるのは変わりません。ただ、自分の希望を並べれば並べるほど結婚への入り口は狭くなります。条件は厳選して、それ以外の部分ではお互いに歩み寄る姿勢が大事だと考えます。その行動の中でお互いの理解は深まり、絆も強くなっていくのだと思うのですが、いかがでしょうか。