女性が結婚相手の男性に「経済力」を求めることは、婚活をしている人であれば男女問わずご存じではないかと思います。「最低でも年収600万円以上の人」などという女性も少なくないようですが、実態を知らないのかと呆れる男性も多いかもしれません。
特に高収入の男性の中には「この女性は自分の経済力だけに魅力を感じているのではないか?」と考えてしまう人もいるようです。今回はこの「経済力重視=お金目当て」は本当なのかについて考えて行きます。
女性の「結婚相手の経済力重視」は事実
多くの統計やアンケートなどでも女性が男性に経済力を求めていることは事実です。しかし、女性には女性ならではの理由があることも知っておく必要があります。
経済力重視に疑問を持つ高収入男性
国税庁の『令和2年分民間給与実態統計調査結果』によると、男性の平均年収は532万円でした。昨年に比べ8万円、1.4%減となっています。見ていただければ一目瞭然ですが、最も多いのは300~500万円で、600万円以上の割合はたったの3割という事になります。
それぞれの年収を得ている男性の平均年齢は40代~50代ですので、年齢が上がれば年収も上がるとは限らないことが分かります。そのため女性としては「なるべく現在の年収が高い男性と結婚したい」と考えてしまうのではないでしょうか。
しかし男性側から見ると、そのような女性の考え方が「高収入であれば誰でもいいのでは?」とか「自分が楽をしたいから自分を選んでいるのではないか」といった不安や疑問に繋がってしまうのも仕方がないことかもしれません。
高収入でいわゆる適齢期と呼ばれる年齢の男性は、相手にも精神的・経済的自立を求める傾向が強く、結婚後も今までと同じように働いて欲しいと考える人が多いようです。専業主婦になりたいという女性は減りつつあるようですが、専業主婦願望がある人はお断りとまで言い切る男性もいます。
これが「経済力重視=お金目当て」という考え方を生み出す原因のひとつだと考えられます。
女性が相手の経済力を重視する理由
女性が男性に経済力を求める理由はいくつかあります。男性が心配しているように「専業主婦になりたいから」「ぜいたくな暮らしがしたいから」という人が存在することは事実でしょう。しかし、中には女性自身も収入が高いため相手の男性には同等かそれ以上を求める場合もあります。
男性はプライドが高いことが多く、女性の方が高収入だと知ると結婚相手候補から外してしまう人が少なくありません(これは学歴についても同じことが言えます)。また、結婚後に妻の年収が夫より高くなると卑屈になってしまうこともあり、そのような事態を避けたいという気持ちもあるのでしょう。
そしてもうひとつ、忘れてならないのが女性には妊娠・出産という大きな出来事が待ち受けているという事です。出産や育児のために仕事ができない期間には健康保険(健保)や雇用保険から5割~7割の手当を受けることができます。しかし、企業規模が小さいところでは協会けんぽなどに加入せず国民健康保険(国保)を利用していることがあり、国保では手当は支給されません。また、一般的な健保でも転職などにより加入期間が短い時も支給されない仕組みになっています。
早く仕事に復帰したくても、都心部では保育園が見つからず育児休暇を延ばさざるをえないことも多々あり、家賃やローンなどでカツカツの生活を送るのはしんどいと考える女性は少なくありません。子供が二人、三人となれば復帰するまでに時間がかかることもありますので、男性の収入に頼るしかない状況が続く可能性を考えればお金はあるに越したことはないと思うのもまた仕方ないことではないでしょうか。
女性が経済力を求める理由にも理解を
結婚しても働き続ける女性にも、働けない時期があることは男性も理解しているのではないかと思います。しかし、女性の妊娠・出産・育児は何もかもが思ったように進むわけではありません。子供がいればお金もかかりますし、一般的に見れば男性よりも女性は収入が低いのもまた事実です。すべての女性が男性の収入だけを目当てに相手を選んでいる訳ではなく、共に暮らしていくために必要な判断基準のひとつとして重視していることを理解しましょう。
結婚相手に高収入を求める女性の特徴
男性に対し、「特に」収入を重視する(高収入を求める)女性にはどのような特徴があるのでしょうか。ここではいくつかパターンをご紹介します。
希望する相手の年齢範囲が広い
プロフィールなどで希望する相手の年齢の範囲が非常に広い女性は少し注意が必要です。一般的に収入は年齢によって上昇していくため、年齢が高い男性ほど高収入である可能性が高くなります。特に20代前半などの女性が50代でも構わないと言っている場合には、相手の人柄よりも経済力を重視していることが多いようです。
婚活市場では、女性は若いほど価値が高く自分で相手を選ぶことができる存在です。その中であえて親子ほどの年齢差を気にしないというのには理由があって当然と言えるのではないでしょうか。もちろん、早くに父親を亡くしているので年上の男性がいいという女性もいますが、相手がどういう理由でその年齢範囲にしているのかよく考える必要があるのではないかと思われます。
裕福な家で育ってきた
実家が裕福で、何不自由ない環境で育ってきた女性も見極めが必要な場合があります。親がしっかりと教育している場合は問題ないのですが、中には娘が望むものを親が全て買い与えてきて、大人になってもお小遣いなどの金銭的な援助を受けている可能性がないとは言えません。このような女性は親や実家と同等かそれ以上の財産・収入があること期待している場合が多いと考えられます。
本当の意味でお金の価値を理解していないと、使うべきところと締めるところの違いが分かっていないことがあり、男性から見ると理解できないお金の使い方をしかねないという懸念があります。金銭感覚は結婚生活において非常に大切な部分を占めているので、お付き合いをする中できちんと確認した方がいいでしょう。
女性自身が高収入
先ほども少しお話しましたが、女性本人が1千万円を超えるような収入がある場合にも相手の男性にも同じかそれ以上の収入を求めることがあります。相手に卑屈になられても困るという考えがある一方で、自分より収入が低い男性は認めないという女性も少なくありません。
それだけの収入がある女性は一般的には30代半ば以降である場合が多いと考えられます。精神的にも経済的にも自立していますから、しっかりとした女性を求めている場合にはうまく行く可能性も高いと言えるでしょう。
高収入の相手を求めることは価値観の差?
婚活では相手を最初から疑ってかかると大切なものを見落としてしまう可能性があります。共に支えあい、生活していけるかどうかをきちんと考え、見極めることに注力することも忘れないでください。
男性と女性は重視する点が異なる
女性には男性とは異なる事情があるため、経済力を重視してしまう傾向があります。多くの女性は「リッチな生活」よりも現実的な問題を意識していると言えるでしょう。
それは男性ができるだけ若い女性を求めるのに似ています。女性は年齢が上がるほど妊娠しにくくなることは広く知られてきていますので、男性ができるだけ若い女性と結婚したいと考えているのと同じではないでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の『第15回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書)』(2017年)によると男性はすべての年代で20代後半から30代前半の女性を求めているという結果が出ています。これを見れば女性は「男性は若い子にしか興味がない」と思ってしまっても仕方がないかもしれません。
結婚相手の何を重視するかは人それぞれです。女性が男性の経済力を重視するのは必ずしも悪い事ではないと言えるでしょう。
大切なのは金銭感覚
女性が男性の経済力を重視するのを「お金目当て」と考えるのは、女性が男性に寄生しているように感じるからではないでしょうか。「女性はなるべく自分が働かずに、男性の収入を当てにして生活したいと思っている」と考えている男性もいるかもしれませんね。
しかし、世の中はそんな女性ばかりではありません。女性の収入が全体として低いのは事実ですが、常識的な金銭感覚を持っている人は大勢います。男性が高収入でも浪費する女性ばかりではないのです。
女性の収入が高くても低くても、大切なのはお互いの金銭感覚が合っているかどうかと言えるでしょう。洋服や化粧品・旅行・趣味への出費、外食の頻度など、その女性が普段どのようなお金の使い方をしていて、どういった点を重視しているのかを良く観察することが大切です。最初のデートでは男性が支払うことが多いですが、その後「おごってもらうのが当たり前」「ごちそうしてもお礼も言わない」という態度であれば、少し考えた方がいいかもしれません。
金銭感覚を含めた価値観のすり合わせを忘れずに
結婚生活では金銭感覚だけでなく、様々な意見の食い違いも出てきます。例えば「誕生日などのイベントをしっかり行う」とか「休日の過ごし方」といった非常に些細なことも相手の不満を募らせる原因になるのです。ちょっと古い歌ですが、山崎まさよしの「セロリ」にもあるように、育ってきた環境が異なるので小さな価値観の違いがすれ違いを産むこともあります。しかし、ひとつひとつの問題を話し合って解決していけるかが結婚生活のカギであることは間違いありません。
結婚前にお金の使い方を含む考え方が近いかどうかや意見が異なった時にきちんと向き合って話ができるかと言った点を良くチェックしておきましょう。できればどんな家庭を作りたいか、どんなライフプランを立てているかなどについて話し合っておくことをおすすめします。このような価値観や意識のすり合わせにより、その女性が本当に男性の経済力だけで近づいてきているのかが分かるのではないでしょうか。
まとめ
男性の一般的な年齢別平均年収は、前出の国税庁の調査によると以下のようになっています。平均ですから全ての男性がこのグラフと同じという訳ではありませんが、働き方によっては20代でも1千万円を超える事もあります。このような場合には男性自身がしっかりと女性を見極める必要が出てきますので、自分がどういう結婚生活を送りたいのか、どういう相手ならそれが可能なのかを良く考えてから婚活することが大切です。
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