婚活をしていると、ある程度の年齢になっているのに一度も結婚したことがない人に出会う機会が意外と多いのではないかと思います。
以前は「いい年をして独身なのは何か問題があるのではないか」などとよく言われました。しかし、人々の意識や環境は時代とともに変わりますので、今は男性でも女性でも「アラフォーで独身」は珍しくありません。仕事などで気が付いたら…という場合もあることでしょう。
ただ、全てのアラフォー独身者がみんなそうとは限らないのも事実です。中にはやはり「問題あり」で独身な人も存在します(こういう人を地雷といいます)。アラフォー世代では相手をしっかり見極めることが大切です。
「いい年をして…」と言われる理由と結婚を取り巻く環境
現在は親世代の認識と、新しい考え方が混在している状態だといえます。まずはこの部分から考えてみましょう。
親世代の認識は今も生きている
高度成長期(1970~1980年代)の結婚はお見合いが中心でした。職場の上司や地域の顔の広い人が写真を預かり、釣り合いの取れそうな相手をピックアップして本人に話を持ち掛け、双方がOKをすればお見合いをすることが一般的だったのです。今よりも「男性は結婚して一人前」「女性は専業主婦になるもの」という考え方が強かったことから、話がまとまるのは早かったのかもしれません。
その後の1990年(平成2年)の平均初婚年齢は男性が28.4歳、女性は25.9歳となっていますが、総務省の『平成2年国勢調査』の結果を見ると、男性は34歳時の未婚率が25%、女性に至っては29歳時で23.5%です。2020年と比べるとその差は歴然ですね。
1990年に28歳だった男性の2022年現在の年齢は60歳、26歳だった女性の年齢は58歳ですので、現在婚活をしている人たちの親世代ということになります。つまり、ある程度の年齢なのに独身だというのは「何か問題があるのかもしれない」という考えが、現在でも残っている可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
生涯未婚率は上昇中
ニュースなどでも話題になることがありますが、平均初婚年齢も生涯未婚率もじりじりと上昇しています。
厚生労働省の『令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、平均初婚年齢は男性が31.0歳、女性は29.4歳となっています。また、『平成2年国勢調査』によると、2020年の生涯未婚率は男性が28.3%、女性が17.8%でした。
なお、生涯未婚率は「50歳になった時点で一度も結婚していない人の割合」と定義されていますが、実際には「45~49歳と50~54歳の未婚率の平均値」で計算されています。前項のグラフと異なるのはそのような理由によるものです。
結婚にとらわれない生活を選ぶ人も
人が集まる都心部では、男性も女性も「仕事に没頭して気が付いたら平均初婚年齢を過ぎていた」という状況になっていることも少なくないようです。
大企業などでは就業環境の改善などにより、女性でも能力のある人材を積極的に活用するようになった結果、男性と肩を並べるだけの経済力を持つ女性も増えています。男性も女性も年齢が上がれば上がるほど「自分の生活」ができ上るため、一人でいることを選択する人もじりじりと増えていることも事実です。
また、入籍を伴わない「事実婚」も広がっています。法律的な夫婦ではありませんが、住民票の世帯主との続き柄で「妻(未届)・夫(未届)」と記載してもらうことで一定の権利を得ることができます。日本とは手続き方法などで大きく異なりますが、ヨーロッパなどではこの事実婚が主流になっており、特にフランスの「PACS(パックス)」は有名です。
日本での「結婚と家族の在り方」については内閣府の男女共同参画局でも様々な検討が行われていますので、興味のある方は読んでみるのもいいかもしれません。
婚活者の認識と現実
アラフォー世代で婚活をしようとしている男女の前に立ちはだかるのが「年齢の壁」です。この部分をきちんと理解しておかないと、婚活を続けても良い結果を掴むことは難しいといえます。
男女ともに最も結婚している年齢は20代後半!
今では男性も女性も年齢が上がるほど婚活では不利になるということが認識されてきていますが、自分の周囲の人が自分と同じような状況だと危機感を持ちにくいのが正直なところではないでしょうか。しかし、「自分は高学歴で高収入だから大丈夫」とか「イケメン・美人だから引く手あまたなはず」と思っていても、いざ婚活を始めてみると思った以上に厳しいと感じる人がほとんどです。
こちらのコラムでも何度か取り上げていますが、男性も女性も初婚の件数を見ると20代後半に集中しています。下のグラフは国立社会保障・人口問題研究所の『人口統計資料(2022年)』より作成したものですが、その数の違いが良くわかりますね。2022年の統計では30歳までに結婚している割合は男性で53.1%、女性では62.7%となっています。「30代になると急に婚活が厳しくなる」と言う女性は多いですが、この数字を見れば納得するかもしれません。
コロナ禍で変わった?婚活開始年齢は下がる傾向に
ここで少し気になるデータをご紹介しましょう。結婚相談所ネットワークのIBJ(⽇本結婚相談所連盟)の「成婚白書~2021年度版~」によると、結婚相談所で活動する男性39歳まで、女性34歳までの割合が前年に比べて大きく伸びていることが分かりました。
思った以上に長引くコロナの影響で、「やはり誰かと一緒に暮らしたい」と考える人が増えたのかもしれません。婚活では年齢は若い方が圧倒的に有利になります。若い年代が婚活市場に増えると、アラフォー以降の世代にはライバルが多くなるため、以前よりも厳しい戦いになることが予想されます。
また、離婚する人が多くなったことから、離婚経験者であっても条件が良ければ再婚することも珍しくなくなりました。特に男性の場合は再婚時に初婚の女性と結婚する割合が女性よりも高く、「時間差一夫多妻制」などと言われたりすることもあります。男性の生涯未婚率が女性よりも高いのは、「条件がいい男性ほど再婚でも初婚の女性と結婚できる可能性が高い」ともいえるのではないでしょうか。
相手が地雷かそうでないかをしっかりと見極めよう
ある程度の年齢になると「なぜこの年まで独身だったのか」という点をしっかりと見極めなければなりません。相手はもちろんですが、自分も他人から「地雷」だと思われていないか確認することが大切です。
地雷男・地雷女って?
一見普通(もしくは魅力的)なのに、実は性格などに問題がある人のことを最近では「地雷」といいます。踏んでしまうと大変なので、できれば避けて通りたいということからそう呼ばれているようです。最初にお話しした「いい年をして独身なのは人間性や性格に問題あり」と言われているのとほぼ同じです。ただし、今の地雷は年齢に関係なく、問題があれば地雷と認定されます。
例えば男性ではDV・モラハラ、女性ではメンヘラやヤンデレ(愛情表現が暴走してしまうこと)などを指しますが、そのほかにも依存体質や束縛がひどいといった場合も含まれます。このような人と付き合ってしまうと面倒なだけでなく、精神的にもダメージが大きくなってしまうので注意が必要です。
婚活で出会った相手が「人の話を聞かない」「悲劇のヒロインのように自分を卑下する」「相手によって大きく態度を変える」といった場合には地雷である可能性がありますのでしっかり観察して回避できるようにしましょう。
お互いの経験値を生かしていい出会いを探そう
自分の年齢が高くなると、男女ともに初婚の人はどんどん減っていきます。しかし、仕事などに夢中で気が付いたらアラフォーだったという人も増えているのも事実。中には異性との交際などの経験があまりなく、婚活がうまく行かなかったという人もいるでしょう。
確かに「モテる人」は早々に結婚してしまっているかもしれませんが、少々不器用でも誠実な「信頼できる人」は存在します。ある程度の年齢になったら、相手に依存することなく共に歩んでいける人を探しましょう。社会的経験値が高く、一人でなんでもそつなくこなせる二人なら、結婚してもお互いに助け合って素敵な結婚生活を送れるのではないでしょうか。
まとめ
以前は周りがあれこれと世話して結婚させることが当然のように行われていたため(本人もそれが普通だと思っていたかもしれません)、現在ならなかなか難しい人も結婚できていたのではないでしょうか。その中で結婚できない(しない)人は「何かあるに違いない」と思われても仕方なかったのかもしれません。
しかし、現在はその人に問題があるから結婚できないとは言い切れない時代になっています。また、結婚している人でも相手の借金や浮気、DVや依存体質などで離婚する人は後を絶ちません。年齢にかかわらず、お互いを支えあって暮らしていける人をしっかりと探して欲しいと思います。
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